エコキュートが故障すると、お風呂やキッチンなどでお湯が使用できなくなり、生活が著しく不便になります。また、エコキュートの故障は、事故や漏水などにつながることもあります。

この記事では、エコキュートの故障の主な症状を解説したうえで、故障の対策や予防法のポイントを解説します。

エコキュートの不調やトラブルで困っている方は、ぜひ参考にしてください。

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エコキュート故障が疑われる際によくある症状

エコキュートの故障が疑われるとき、その症状は多岐にわたります。
この章では、症状ごとに代表的なケースを解説します。

冷媒(れいばい)系統の故障

冷媒系統を簡単に説明すると、効率よく熱を温めるために必要となるエコキュート内部の設備のことをさします。

エコキュートは、大気の空気を圧縮することにより熱を高めるというヒートポンプの仕組みを使用しているのですが、冷媒の働きがなければ十分に熱を高めることはできません。

冷媒系統の設備が故障したり劣化したりすると、エコキュートを使用してもお湯が出ない状態になります。
一般的にエコキュート本体の寿命は10年ほどですが、冷媒はそれよりも短く劣化してしまうこともあります。

基盤の故障

エコキュートには、本体の機器を作動・制御するためにさまざまな電子基板が入っています。
当然ながら、これらの基板が故障すると、エコキュート本来の機能が損なわれます

エコキュート設備一式のなかで基板が使用されている箇所は、エコキュート本体・ヒートポンプ・リモコンパネルなどです。

本体やヒートポンプには複数の基板が用いられており、故障箇所により症状や対応方法が異なります。

漏水・水漏れ

エコキュート本体や配管などから漏水が発生していると、水が全く出なくなってしまったり、水量が少なくなってしまったりします。

配管からの漏水によって住宅設備に故障が生じることもあります。

漏水の根本的な原因は、配管の破損や劣化・接続箇所のパッキンの劣化などです。
特にゴム製品であるパッキンのなかには劣化が早いものもあるため、要注意です。

凍結

外気温が低いときには、エコキュート内部や配管の水が凍結してしまうことがあります。

凍結の場合は、通常は気温が上がれば自然とお湯や水が流れるようになりますが、まれに氷になって体積が膨張したことにより配管や接合部分が破損してしまうことがあります。

お湯の量が設定どおりにならない

エコキュートの水位センサーや本体の貯水ユニット基板が故障していたりすると、お湯の分量が設定どおりにならなくなります。

お湯が全く止まらずにお風呂から大量にあふれてしまったり、反対に本来の量よりもずっと少なかったりするなどの状況です。

長期間にわたってエコキュートを使用している方や、浴槽循環システムを定期的に清掃していない場合、基板やセンサーの異常が生じやすくなります。

水圧が弱い

エコキュートの水圧が弱い場合、必ずしも故障が原因であるとは限りません。
例えば、容量以上のお湯を使用した場合や、複数箇所で同時にお湯を使った場合などに水圧が弱くなることがあります。

給湯器の問題によって水圧が弱くなる状況として考えられるのは、給湯器本体の弁の不調です。
この場合、リモコンのコントロールパネルにエラーコードが表示されます。

対処をしてもエラーメッセージが消えない

エコキュートのリモコンパネルにエラーが表示され、正しく対処をしたにもかかわらずエラー表示が消えないことがあります。

これらのケースでは、通信や基板にトラブルが発生している可能性が考えられます。

エコキュートの故障や劣化を促進させてしまう使用法

電化製品である以上、エコキュートはどのように使用していても故障や劣化が生じてしまう可能性があります。

とはいえ、エコキュートもほかの家電製品と同じように適切な使い方をすれば故障しにくくなります。逆にいえば、使い方次第では故障・劣化が早まってしまうということです。

この章では、エコキュートの故障や劣化を促進させてしまう使用法を解説します。

点検・メンテナンス不足

エコキュートにはさまざまな部品が使用されており、点検やメンテナンスが不足すると知らず知らずのうちに劣化が進んでしまうことがあります。

また、劣化やトラブルが生じた状態で機器を使用していると、ほかの箇所にトラブルが発生してしまうことも考えられます。

井戸水の使用や地域に適していないエコキュートの設置

エコキュートは、使用する水や使用箇所など、注意が必要なケースがあります。

水の種類

水道水の使用を推奨(井戸水や海水などは不純物が含まれており、エコキュートの故障・劣化を促進する可能性あり)

設置箇所

寒冷地や塩害エリアでは、気候に適したエコキュート機種があり、一般的な機種を設置すると早く故障する可能性あり

光熱費削減や機種の価格だけではなく、ご自宅の状況を把握することが重要です。

ヒートポンプの設置環境

ヒートポンプの設置状況も非常に重要です。

ヒートポンプは、側面に空気の吸込口・正面に吐出口があるため、ものを置いて空気の流れを遮ってしまうと、正常な稼働ができなくなってしまいます

長期間にわたりこれらの使用法を繰り返していると、故障や劣化を早めてしまうリスクもあります。

故障させないためのエコキュートのメンテナンス方法

エコキュートを故障させないためには、日常的なメンテナンスが必要です。

この章では、箇所別にエコキュートのメンテナンス方法を解説します。

タンクの清掃

エコキュートの貯湯タンクを洗浄することで、蓄積した汚れ・沈殿物を除去することができます。

具体的な手順は以下のとおりです。

<手順>

1.タンクの給水止水栓を閉める
2.漏電遮断器を切る
3.逃し弁を開ける
4.排水栓を開ける
5.タンク内に貯まった汚れた水が排水トラップから流れ出たら(2分程度)、排水栓を閉める
6.給水止水栓を開ける
7.逃し弁を戻す
8.漏電遮断器を入れる

貯湯タンクの洗浄は、1年に2~3回程度の実施が推奨されています。

浴室のフィルター清掃

浴室のフィルターを掃除することで、目詰まりによる機能低下を防ぐことができます。

手順は以下のとおりです。

<手順>

1.説明書を確認しながら浴槽フィルターを取り外す
2.フィルターを水洗いして、汚れを落とす
3.必要に応じて浴槽フィルター用の洗剤を用いる
4.フィルターを取り付ける

清掃の頻度は1~2週間に1度程度です。

配管洗浄

エコキュート本体と浴槽との間の配管を洗浄することも重要です。

エコキュートのリモコンパネルの「配管洗浄」ボタンで手軽に洗浄することができます。

洗浄方法は以下のとおりです。

<手順>

1.浴槽内に水をためる
2.洗剤を入れて、「配管洗浄」のボタンを長押しする
3.洗浄が完了したら、排水する
4.すすぎのために、水を浴槽に貯めて再度洗浄する(洗剤を使用しない)
5.排水する

配管洗浄の頻度は、1年に2~3回程度です。

定期点検

エコキュートは、修理業者に定期点検をしてもらうことも重要です。
定期点検の目安は、10年程度経過したときか使用回数が規定の数に達したときです。

目安のタイミングになったら、リモコンパネルに案内の表示があらわれるので、参照すると良いでしょう。

エコキュートの故障が疑われるときの対処法

エコキュートの故障が疑われる際には、速やかに行動することも重要です。

この章では、迅速にエコキュート故障に対応するための対処法を解説します。

リモコンパネルを確認

エコキュートのお湯が出ないときには、リモコンパネルを確認してください。
何らかのエラーが生じている場合には、エラーコードが表示されています。

エコキュートの説明書やメーカーホームページなどで確認すると、ご自身でできる対処法・修理サポートへの連絡の必要性が記載されています。

エラーコードに沿って対応

簡単な作業で復旧できる場合には、エラーコードについて対処法が記載されていることがあります。

具体的には、「再捜査」「電源コンセントの抜き差し」など、とても簡単な作業です。

逆に、エラーコード対応表に書かれていない作業は危険を伴うため、作業しないようにしてください
漏電・漏水・大きなケガなどが生じる可能性があります。

修理業者への依頼

ご自身での対応が困難な場合には、修理業者に依頼をおこないます。

給湯器の修理業者は、基本的に立ち会いが必要となるため、できるだけ早くスケジュールを調整して作業の依頼をしてください。

このとき、漏水・漏電・事故などの危険性を防ぐために、作業スタッフが駆けつけるまでの応急処置についても確認しましょう。

まとめ

エコキュートの故障が疑われる際には、生活の利便性を取り戻すためにも安全を確保するためにも迅速な対応が要求されます。

エコキュートのシステムは、箇所・部品の種類・トラブル内容などが幅広いため、落ち着いて対処することと状況に応じた対応をすることが重要です。故障のリスクを少なくするためには、日頃のメンテナンスや点検をすることや正しく使用することも意識しましょう。

プロの修理業者ならではの視点でエコキュートの故障に関する情報を紹介しましたので、お困りの方は参考にしていただけたら幸いです。