キッチンやトイレ、お風呂など、住宅の水まわり設備に対して水を供給する水道管。

水道管が設置されているからこそ私たちは何不自由なく生活ができていますが、その水道管でまれに発生するトラブルが、水道管の「破裂」です。

「水道管が破裂したらどうしよう…」「水道管が破裂してしまったら、どう対応すればいいの?」という心配をしなくてもすむよう、この記事では水道管が破裂してしまった場合の対処法についてご紹介します。

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水道管が破裂してしまった場合の応急処置

水道管破裂の応急処置

まず、水道管が破裂してしまった場合の応急処置を3つのステップに分けてご説明します。

もし水道管が破裂しても、パニックにならずに冷静に対応すれば被害の拡大を防ぐことが出来ます。

止水栓を閉めて水を止める

止水栓を閉める

破裂している部分から漏れ出す水をとめるために、まず止水栓を閉めましょう。

止水栓は水まわり設備に備わっているもので、水の供給をコントロールする設備です。止水栓の開け閉めにより、蛇口の開け閉めと同じように、水の供給と停止ができます。

寒冷地や、冬に寒波がきたときなどには、水道管内部の水が凍結することがあります。凍結の影響で水道管が破裂するケースも多いのですが、この場合、水が凍結している間は破裂の影響がわかりません。日中に気温が上昇し、水道管の中で凍結していた水が溶けだしてから、はじめて水漏れし始めます。こういった場合にも、まず止水栓を閉めるようにしてください。

破裂した部分周辺の水をぬぐい、ふき取る

水道管破裂の補修

止水栓を閉めて水を止めたら、破裂した部分周辺をタオルやぞうきんでぬぐい、周囲に漏れた水もふきとりましょう。このとき、止水栓を閉めてから数秒から1分程度の間、水が漏れ続けることがあります。

これは管内に水圧がすこし残っているためです。また、破裂箇所より高い位置にある水道管から流れ落ちてくる水もありますから、しばらくの間は水が流れ出てきます。流れ出てきている間は、破裂箇所におしあてたタオルやぞうきんに水を吸わせてから、こまめにバケツなどへ絞る作業を行うと、水に濡れることから生じる被害を減らすことができます。落ち着いて、水がとまるまで作業してください。

水道修理業者に連絡する

水道管破裂の修理依頼

水を止め、周囲の水がふき取れたら、水道業者に連絡しましょう。もちろん、ここまでの作業と連絡とを手分けして同時にすすめるのが最良です。

止水栓を閉めれば、破裂部分から漏れ出す水も止まります。ですがそのままでは水が使えませんし、水を使うために止水栓をあければ、また漏れ出してしまいます。
一刻も早くまた水が使える状態に復旧するため、速やかに水道業者に修理の依頼をしましょう。

破裂した部分にタオルや布を強く巻きつける、漏水修理テープなどで補修する、などの対応を試みてもよいですが、いずれも応急処置ですから、そのままにしておくわけにはいきません。

しっかりと修理をするには水道修理業者による作業が必要ですから、速やかに依頼・連絡をし、対応してもらうようにしましょう。

また、破裂箇所の位置や、どの程度の水漏れ・噴きだしがあるかによっては、水をとめたままにしておくわけにいかず、応急処置の状態で水を使いたい、という場合もあると思います。

そういった場合には、破裂箇所にタオルを強く巻きつけて縛ったり、ガムテープやダクトテープなどをうまくつかってタオルを貼りつけておきましょう。破裂している場所から漏れ出してくる水、噴きだす水はとめられませんが、周囲に飛び散ることを防げます。

タオルが受け止めた水はそのまま下へ落ちますから、可能であれば破裂した場所の下にバケツなどをおいて、水受けにします。バケツにみずがたまってきたら、洗面でも浴室でもかまいませんから、近くの排水口に水をあけ、またすぐにバケツをおきます。

水を使うために止水栓をあけている間はこの作業を繰り返し、周囲の水濡れを最小限におさえるようにしましょう。

水道管が破裂してしまう3つの原因

水道管破裂の原因

なぜ水道管は破裂してしまうのでしょうか。住宅の水道管が破裂してしまう原因は一つだけではありません。

ここからは、水道管の破裂を引き起こす3つの原因について解説していきます。

水道管の凍結

水道管凍結による破裂

水道管が破裂してしまう原因の一つ目は「凍結」です。

水道管の中は常に水で満たされています。この水が、冷気によって凍結することがあります。

具体的には、気温がマイナス4℃以下になると、水道管の中の水は凍結しはじめます。

水は氷になると体積が約10%大きくなります。水道管の中で凍結が起きると、密閉された配管の中で水(氷)の体積が大きくなるため、その圧力により水道管が変形します(ふくらみます)。やわらかい材質の配管であれば変形するだけですが、配管は通常塩化ビニール製や金属製が多く、変形するよりも割れる、折れるなどして破裂してしまうのです。

北海道など気温が氷点下になることが多い寒冷地では、水道管の中の水が凍ってしまわないよう対策が施されています。

しかし、温暖な地域では水道管に凍結対策が十分にされていない場合があります。

そういった地域で寒気の影響などにより氷点下の状態が続くと、凍結対策がされていない、もしくは軽微な対策しかされていない水道管は凍結してしまうことがあります。

なので凍結による水道管の破裂は、寒い地域だけのものではありません。温暖な地域であっても強い寒波などの影響、配管に対する凍結対策の度合いなどの条件により、凍結による破裂が派生します。気象情報などである程度の予測ができますから、他人事と思わずにご注意ください。

地震による水道管の破損

地震による水道管破裂

水道管が破裂してしまう原因の二つ目は「地震」です。

日本は地震が多い国で、小さい規模の地震を含めると年間1,000件以上が観測されています。

小さな地震なら影響はありませんが、揺れの大きな地震では、地盤も建物も地震による揺れの影響を受けます。

地震では地盤が揺れ、その揺れによって建物が揺れる、という動きをします。水道管は地中から建物内までつながっていますから、地盤と建物とがすこしずれて揺れることにより、水道管のうち一番弱い部分が破裂してしまいます。

これが、地割れや地表ずれが発生するような大地震であれば、揺れの影響ではなく地面の動く力が直接影響し、水道管は破裂してしまいます。

水道管の劣化による破損

水道管の劣化による破裂

水道管が破裂してしまう三つ目の原因は、水道管の「劣化」です。

水道管は高い耐久性を有していますが、数十年使い続けていると経年劣化してしまいます。ちなみに、配管の材質などにより異なりますが、厚労省の設定する更新基準、法定耐用年数は40年が目安です。公共建築物などで40年ですから、施工品質などにばらつきがある平均的な一般住宅では、耐用年数はもっと短いものと考えられます。

劣化が進むことで、パイプ部分や継手部分に亀裂が入る、さしこみ接着箇所の抜け出し、ネジ部の腐食による破損、電蝕によるピンホール(穴)などがおこり、最終的には漏水や破裂につながるおそれがあります。

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水道管が破裂した時の症状

水道管破裂の症状

実際に水道管が破裂すると、どういった状況が生じるでしょうか。

水道管は水で充たされており、水圧もかかっています。水道管が破裂すれば、破裂した個所からの水漏れが発生します。

ここからは発生箇所ごとに注意すべき点などについて解説していきます。

キッチン・風呂・トイレなど室内の水道管が破裂した場合

応急処置として説明したように、水道管が破裂した場合は、まず最初に止水栓を閉める必要があります。

止水栓を閉めると、その止水栓が担っている設備からは水が出なくなります。キッチンの止水栓を閉めればキッチンの、洗面の止水栓を閉めれば洗面の、水が出なくなります。

止水栓の位置がわからなかったり、操作方法がわからない場合などには、メーターの元栓を閉めましょう。この場合、家全体の水道が使えなくなるかわりに、水漏れは確実に止まります。万が一これで水漏れがとまらない場合は、メーターよりも元側での破損ですから、自治体の水道局など、管理者へ連絡するようにしましょう。

屋内での水漏れは、漏れている場所によっては壁や床、天井、家財道具などに損害を生じるおそれもあります。まず水をとめることを優先しましょう。

屋外の水道管が破裂した場合

屋外の水道管が破裂した場合の注意点は、破裂したこと自体に気付かない可能性があるということです。

生活の基盤となる屋内に比べて、屋外の水回りは使用頻度が低く、いつの間にか水漏れしていたということも多々あります。

特に屋外の水道管は地中に埋められていることが多いため、水道管が破裂して漏水していても、地表には影響が出ないケースもあります。

配管の深さにもよりますが、軽微な水漏れは土中にしみ込んでしまうために気づけません。地面が湿っている、濡れている、などのわかりやすい状況になったころには、地中では大きな水漏れになってしまっていることが多いです。

また、建物裏手などのふだん人が通らない、あまり目にしない部分での水漏れでは、地面が濡れていてもなかなかそれに気づく機会がありません。

地中に埋められている水道管に漏水が生じた場合など、調査や修理をするには、まず地面から掘り起こしたり、地表がコンクリート仕上げならコンクリートを斫って撤去したりすることから始めなければなりません。そのため、調査や作業にかかる手間は大きくなります。

水道管の破裂によって大量に水漏れすると大変なことに!

水道管破裂 階下の被害

水道管は床下や壁の中にもあります。住宅によっては天井裏にも水道管があります。水道管が破裂することによって大量に水漏れしてしまうと、床下に水が溜まる、壁紙や床材の水濡れ破損、電化製品や照明器具の破損など、建物や家財に被害が出てしまう場合があります。

水漏れによるダメージが家具などの買い替えができるもので済めばいいですが、柱や床の腐食など建物の主要部分にダメージがあると、大がかりな修繕工事まで必要になるかもしれません。

また、マンションなど集合住宅では、階下や隣室などにまで何かしらの被害を生じさせてしまう可能性もあります。費用だけの問題にとどまらず、ご近所トラブルなどにもつながってしまえば、日常生活への影響ははかりしれないでしょう。

大きな費用負担やトラブルが発生する事態をさけるために、もし少しでも水道管に関する異常を感じた場合は、早急に対応して被害を最小限に抑えたいものです。

敷地の外で水道管が破裂した場合

敷地外の水道管破裂

自宅前の道路など、敷地の外で水道管が破裂し、水漏れしている場合はどういった対応が必要になるのでしょうか。

自治体にもよりますが、通常、水道メーターから下流側で水道管が破裂した場合は、その所有者が対応することになります。ほとんどの場合、土地や建物の所有者です。水道メーターよりも下流側ですから、破裂したまま放置すれば水道料金もどんどん上がってしまいますから、その意味でも急いで対応する必要があります。

しかし、水道メーターより外側(敷地外)で水道管が破裂した場合は、その水道を管理する水道事業者が責任を負うことになるため、こちらで何か対応する必要はありません。この水道事業者というのは、企業団、管理組合などが該当する場合もありますが、多くの場合、市町村など自治体のことです。

ただし、対応する必要はなくても、水道管が破裂することによって、自宅や近隣の水道に影響があったり、道路の陥没や汚損など、敷地まわりに被害が出る可能性もあります。

また、自身の水道料金には直接関係しないとはいえ、漏水している間はずっと水を捨て続けているのと同じです。道路など、敷地外の水道管であっても破裂・水漏れが確認できた場合は、速やかに、お住まいの自治体の水道担当部署や水道業者などに連絡してください。

水道管の破裂を事前に防止するための対策

水道管破裂の対策

水道管は経年劣化だけでなく、日照状況や気温などの気象条件、施工技術のばらつきによる品質条件、運用状況による負荷条件などで想定外に劣化が進みます。

破裂を事前に防止するには、日頃から水道管のメンテナンスに気を配ることが重要です。

一番簡単な方法は、水道修理業者に定期的な点検やメンテナンスを依頼することですが、コストがかかります。では、自分でもできる対策はどういったことがあるのでしょうか。

【水道管の凍結防止対策、凍結による破裂防止対策】

凍結対策は、天気予報で氷点下が続くことが予想されている前日から始めます。明け方など、もっとも気温が低くなる時間帯にさきがけて対策する必要があるためです。

まず1つ目は、水道の元栓を閉め、蛇口から水が出なくなるまで水を出し、そのまま蛇口をあけておくという対策です。水道管の中の水をすべて抜くのは不可能ですが、これにより水道管が密閉状態ではなくなるため、凍結した場合に管が破裂してしまう確率が少しだけ下がります。

2つ目は、蛇口から少しだけ水を流し、そのまま流しっぱなしにしておく対策です。流れている水は留まっている水よりも凍りづらいので、こちらは凍結自体を防止します。

3つ目は屋外の蛇口など、外気に触れやすい部分に古タオルなどの布を巻きつけて、外気温の低下による影響を抑える対策です。蛇口部分や、配管がむき出しになっている部分などの水が最初に凍結しますから、そこを重点的に対策しましょう。

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水道管が破裂したときに知っておきたい3つのポイント

確認すべきこと

凍結や地震によって水道管が破裂してしまったら、住宅への被害を防ぐためにもできるだけ早く対処しなくてはいけませんが、事前に知っておいてほしいポイントが3つあります。

これらのポイントを把握せずに対応を進めてしまうと思わぬトラブルにつながってしまいかねませんので、必ず確認しておくようにしましょう。

マンションやアパートの場合は管理会社に連絡する

一般的に、所有する住宅の水道管が破裂してしまった場合、自身で応急処置を施し、水道修理業者へ依頼する必要があります。

しかし、マンションやアパートの場合は、自分の判断で業者に依頼して対応してもらうことは避けましょう。

マンションやアパートなどの集合住宅の水道管はあなた個人でなく、物件の所有者(多くの場合、大家さんです)、管理会社や管理組合などの所有であったり、管理下にあったりするためです。

マンションの水道管などの設備は共用設備ですし、アパートなどの賃貸物件の所有者は大家さんです。管理組合などの規定によって責任の区分が異なる場合もあります。そのため、管理会社や大家さんの許可を得ずに対処してしまうとトラブルに発展してしまう可能性がありますし、しなくてもよい費用負担が生じる場合もあります。

応急処置を施したら、管理会社や所有者に連絡して指示をあおぐようにしましょう。

水道料金の免除や減額制度について確認する

壁や地面の中にある見えない水道管が破裂してしまった場合、水道料金の免除・減額制度を利用できるケースがあります。

ただ漏れただけで、生活に使っていない水道料金を支払うのは損ですから、制度があるかどうか、適用されるかどうかを忘れずに確認しましょう。

制度の有無や内容は水道事業者により異なりますが、過去の使用水量実績と比較して漏水量を推算してその分を減額したり、その分は下水道料金のみ免除としたり、漏水量の50%相当のみを減額したり、といったような制度があります。

ただし、こういった水道料金の免除・減額制度を利用するには、水道事業者が指定している業者に修理依頼する必要があり、業者に発行してもらった修理証明書や報告書の提出、もしくは業者から水道事業者に減額を申請してもらうなどの手続きが必要となります。

事業者によっては、所有者からの電話報告のみで対応してもらえる場合もありますから、こちらも確認しましょう。

また、これら制度の利用条件として、故意に水道管を破裂させていないことなどがありますが、一部地域では凍結が原因の場合は制度が利用できないこともあります。手続きや条件の詳細については必ずお住まいの市区町村の水道局など、水道事業者にお問い合わせください。

火災保険の補償内容を確認する

凍結や地震によって水道管が破裂してしまった場合、確認しておきたいのが火災保険です。

火災保険には、以下の2つの制度があります。

水漏れ補償は水道管の破裂によって建物や家財道具に被害が生じてしまったときに適用される補償です。

水道管凍結修理費用保険は、凍結によって水道管が破裂してしまったときに、その修理に要した費用に対して補償される制度です。

保険適用となるかどうか、なる場合には記録写真や請求書、報告書など、どういったものの提出が必要となるか、実際の内容については規約や約款をよく確認する必要があります。

水道管が破裂した時の修理は水道業者にお任せください

水道管破裂の修理

水道管に関する工事は専門的な作業です、

水道管の破裂を修理する場合、その内容によって、以下のような資格が必要となるケースがあります。

さらにこうした資格だけではなく、水道事業者から指定を受けた水道業者でないと、水道管に関する工事、修理などの作業をすることは許されていません。

水道管は給水管網を通じてさまざまな建物や施設にも関連しますし、公衆衛生に深く関わりのあるものです。

水道管が破裂してしまっても、自分で修理をしようとしないでください。専門知識や技術なく修理を試みることで、状態が悪化してしまったり、近隣の方にも影響が出てしまう可能性があります。

水道管の破裂に気づいたら、冒頭で紹介した応急処置のみを行なって、水道業者に修理してもらうようにしましょう。

まとめ

本記事では、水道管が破裂した際の応急処置や原因などについて解説しました。

水道管は通常使用においては耐久性の高い設備ですが、凍結や地震など、不測の事態によって破裂してしまうことがあります。

また、突発的な事態に限らず、劣化に起因する破損、破裂も起こります。

もし水道管が破裂してしまったら、今回紹介した内容を参考にして、落ち着いて対処してください。

マンションやアパートなどの集合住宅での注意点も忘れず、管理会社や所有者に連絡し、対応してもらうようにしましょう。

水道管が破裂して水道修理業者の対応が必要になった場合は、ぜひ私たち「水道修理ルート」にご依頼ください。私たちは水道設備のことを知りつくした水道局指定の水道修理業者です。

破裂してしまった水道管の修理や交換の実績も豊富ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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監修者プロフィール

大塚

給水装置工事主任技術者

2005年から排水設備責任技術者として排水装置工事の計画や設計・施工業務に従事。2011年12月には給水装置工事主任技術者の資格を取得し、水道修理にまつわる施工・指導者として活動。2014年に土木工事業・管工事業の監理技術者となり、水回りのみならず建築・不動産分野にもわたり経験・知見を積み現在に至る。