最初は眩しいほど真っ白だった便器が、ある日よく見ると黄ばんでいたり、黒ずんだりしているのはショックですよね。

毎日きれいに使っているつもりの人ほど、ショックが大きいのではないでしょうか。

しかし残念ながら、便器は時と共に、どうしてたって変色してしまいます。

ここでは、便器の黄ばみと黒ずみの原因と落とし方について、可能な限り変色を防ぐためのお手入れ方法と合わせて解説します。

便器が黄ばむ原因は2つ

タンクや便器の裏側はともかく、すぐに目に付く便器の水たまり部分が汚れていると、トイレの個室全体が汚れた雰囲気になってしまいます。

いつの間にか便器の水たまり部分が変色するのは、一体どうしてでしょうか?まず、便器の黄ばみの原因から説明します。黄ばみの原因は、2つあります。

1.メーカーが施工した便器のコーティングが剥がれる

日本の便器には、さまざまな素材が使われています。工事現場などの簡易トイレは、ABS樹脂というプラスティック製の便器が多く、道の駅や公共施設のパブリックトイレには、金属やコンクリート製の便器があります。

近年の一般家庭向け便器は、衛生陶器といわれる各種のセラミック素材、または有機ガラス系の新素材がほとんどです。こうした便器の表面には、予め「コーティング」と呼ばれる加工がされています。

コーティング加工には、製造メーカーによって、フッ素、ガラス、シリコンなどの種類がありますが、目的はただひとつ、汚れの付着、変色、傷を防ぐことです。

しかし、コーティングは永遠ではなく、確実に経年劣化するのが現実です。経年劣化したコーティングは、徐々に剥がれ落ち、掃除ブラシでこすられただけで、容易に傷がつきます。便器の表面は傷でざらつき、その凹凸のすき間に汚れが付着して、水を流しても少しづつ蓄積します。

こうして、気が付くと便器は黄ばんでいる、というわけです。

2.便器に尿石がこびりつく

コーティングが剥がれかけた便器は、日々の汚れにさらされます。日々の汚れの中で、便器に付着する回数が圧倒的に多いのは、人間の尿です。

排泄したばかりの尿は無臭ですが、空気に触れると、雑菌によって尿素が分解され、アンモニアの刺激臭を出します。同時に、アンモニアに変換された尿は、便器内全体をアルカリ性にします。

アルカリ性になった便器内では、尿に含まれていたカルシウムイオンが反応し、「難溶性カルシウム化合物」という物質に変質します。この難溶性カルシウム化合物こそが、尿石なのです。

なお、尿石は多孔質なので、黄ばみの原因となるだけでなく、さまざまな菌の温床にもなります。そのままにしておくと、周囲にはカビが生え、悪臭がひどくなり、窓からハエや羽虫が入ってくる原因にもなります。

自分で黄ばみを落とす方法

便器の黄ばみを自分で落としたい、なおかつ今後の予防もしたい場合は、サンポールのような酸性の洗剤と、トイレマジックリンのような中性の洗剤を、うまく使い分けるのがコツです。

洗剤ボトルの裏側には、成分表示が記載されています。その中の、「液性」と書かれた部分を確認しましょう。「酸性」、「アルカリ性」、「中性」を正しく判断することができます。

ちなみに、刺激の強弱を、コマーシャルのイメージで決めるのは大変危険です。やさしいフローラルの香りがする中性洗剤でも、やさしいのは便器や床に対してであり、長時間素手で使えば、皮膚は荒れてしまいます。

黄ばみには酸性のトイレ洗剤を使う

黄ばみの原因となる尿石はアルカリ性の汚れなので、市販の酸性洗剤を使って、汚れを柔らかく溶かし、浮かせてから落としましょう。ジェルタイプの洗剤には粘度があります。黄ばみ全体を覆うように塗りつけ、しばらく放置してから洗い流します。

液体タイプの洗剤は、ブラシでこすりつけながら、汚れを落とします。擦った拍子に、顔へ飛び散りやすいので注意してください。

頑固な黄ばみには、ジェルか液体の洗剤でトイレットペーパーをしっかり濡らし、一晩湿布のように便器内へ貼り付けておく方法が効果的です。

ただし、ペーパーの量が多いと詰まるので、一気に流さないように。もし、黄ばみが少しだけ気になる程度なら、マイルドな酸性洗剤として、家にあるクエン酸やお酢を使ってもよいでしょう。

一方、普段のお手入れは、便器にも皮膚にも低刺激な中性洗剤がベストです。効き目が穏やかなので、便器のコーティングを痛めつけることはありません。中性洗剤でも、時間の経っていない汚れであれば、問題なく落としてくれます。

コーティング効果を意識して黄ばみを予防する

ここ数年で、トイレ用の中性洗剤や手洗いタンクに置くだけの芳香剤にも、便器をコーティングする効果を謳ったものが増えました。

スタンプタイプ、スプレー式、ワックスのように液体を布で塗り広げるタイプなどがあります。一部の商品は、数か月以上も効果が持続するようです。本格的に便器を施工するコーティングとは別物ですが、ある程度の日々の汚れ、傷の予防にはなるでしょう。

一番手軽なのは、便器に直接スタンプするタイプですが、節水トイレの場合は注意が必要です。

節水トイレは水の流れの向きに工夫がありますが、水の流れ自体は弱いため、スタンプを押す場所によっては、いつまで経っても溶けない可能性があります。もし、すでに便器のコーティングが剥げてしまっている場合は、尿石防止剤を使うのもひとつの方法です。

尿石防止剤とは、パブリックトイレでよく見かける芳香ボールにそっくりな薬剤で、小便器やタンクの手洗い部分に置いておくと、尿石の付着や生成を防止してくれます。

便器の黄ばみを防ぐための注意点

前述したように、普段のお手入れは中性洗剤がおすすめです。頻繁に強い洗剤を使うと、一時的には白くなりますが、便器のコーティング剤は、どんどん剥がれてしまいます。

研磨剤入りの洗剤、水だけで落ちる研磨剤入りのブラシ、紙やすりも、便器へのダメージが非常に大きいです。これらは、ここぞという時にだけ使いましょう。

特に、有機ガラス系新素材の便器は要注意です。使用説明書には、必ずお手入れの禁止事項が詳しく明記されているのですが、あまり読む人はいません。

水道修理業者が便器の黄ばみを落とす方法

水道修理業者、設備メンテナンス、ホームクリーニングなどの専門業者は、便器の黄ばみを落とす際に、「業務用尿石除去剤」と呼ばれる薬剤を使用することがほとんどです。

業務用の薬剤が使われる

業務用尿石除去剤とは、市販の酸性洗剤より強力な、「強酸性」であることが特徴の薬剤です。

そこまで酸性が強くない尿石除去剤は、ホームセンターや通販で入手できますが、業務用の強いタイプは、「医薬用外劇物」と分類され、店舗販売はほぼされないため、通販、もしくは専門の業者経由で購入することになります。

いずれにしろ、皮膚に付いたり、目に入ったりしないよう、取り扱いには十分な注意が必要です。

水道修理業者が尿石を溶かす手順

昔からよく知られている業務用尿石除去剤として、「デオライト」、「デオライトSS」、「デオライトSP」があります。この薬剤を使って、水道修理業者が尿石を溶かす手順を紹介します。

自分でチャレンジしてみたい人は、参考にしてください。一般向けには、「デオライトL」があります。

準備すること

周囲にステンレスや鏡面仕上げの金属があれば、薬剤がかからないようカバーを掛けます。光る金属は、間違いなく真っ黒に変色してしまうからです。
※止水栓など、普通の金属は大丈夫です。

準備するもの

手順

  1. トラップ(便器内で水が貯まっている部分)の水を、手動ホースポンプで抜く。
  2. 素早く薬剤を入れる(水を抜くと、すぐに配水本管の臭いが上がってくるため)。
  3. しばらく放置した後で、水を流して終了。

放置時間は、一時間以上が目安です。一連の作業はシンプルですが、ビニール手袋かニトリル製手袋、長袖、マスク、ゴーグルやサングラスは必須です。必ず換気をしながら行います。

黄ばみがひどい場合は、トイレットペーパーに薬剤を浸して湿布します。トイレットペーパーは水に溶ける性質なので問題ありませんが、間違ってもタオルや雑巾を使ってはいけません。繊維が溶けてしまいます。

コーティングのやり直しという選択も

便器が黄ばんだからといって、いちいち便器本体を交換していたら、費用がかさみます。そこで、便器のコーティングだけをやり直すという選択肢もあります。

コーティングのやり直しは、まず便器の汚れとざらつきを、全て完全に除去することから始まります。施工してから手直しするのは不可能なので、施工前の段階で、黄ばみ、黒ずみを落として、研磨剤で表面をなめらかな状態に戻しておくのです。

凹凸がなくなった便器に、コーティング剤をムラなく塗り込んで、しっかり乾燥させたら完成です。

使用頻度と状況にもよりますが、およそ3年程度は効果の持続に期待できます。また、リピート施工も可能です。

便器の黒ずみの原因と対策

黄ばみと同じくらい気になるのが、便器の黒ずみです。こちらも、適した洗剤の見極めがポイントです。そして普段のお手入れは、やはり中性洗剤を使います。

黒ずみの主な原因は、放置されたカビ

便器のトラップに沿った黒い輪っか、俗に「サボったリング」と呼ばれますね。そのリングの主な原因はカビです。

尿石の黄ばみと比較すると、黒ずみの対処法は、少し難易度が上がります。

黒ずみを落とす方法は?

黒ずみの主な原因は黒カビで、黒カビは酸性です。したがって、一般的にはハイターのような「アルカリ性の塩素系漂白剤」を使用して除去するのが基本とされています。

ただ、いざ自分で掃除すると、黒ずみの全体か一部が、うっすら白くなるだけ、といったケースが多いため、案外ガッカリすることも。その理由は、便器の黒ずみが二層、三層の構造になっているからです。

例えば、便器に生えた黒カビの下には尿石が隠れていて、その上を水垢と油分が混じり合ってコーティングしている、こういった複雑な汚れがよくあるのです。

水道修理業者が便器の黒ずみを落とす方法

水道修理業者、設備メンテナンス、ホームクリーニングなどの専門業者は、業務用の薬剤を、時には複数使用して黒ずみを落とします。

便器の黒ずみを落とす業務用の薬剤は?

専門業者が判断するのは、便器の黒ずみを構成している「汚れの層」の正体です。ケースバイケースで、適した薬剤を選びつながら作業します。

便器の黒ずみを落とす際の注意点

便器の黒ずみを落とすには、それぞれの汚れに合わせた薬剤を、交互に使う必要がありますが、複数の薬剤を使う場合、絶対に注意しなければならないのは、「混ぜるな危険」です。

違う液性の薬剤が混ざると、ただちに有毒ガスの発生につながりかねません。とはいえ、専門業者の現場での持ち時間は限られていますから、以下の3つのルールを徹底して行います。

  1. 便器についた薬剤は、完全に水で流す
  2. 拭うだけでなく、しっかり乾燥させる(時には送風機を使用する)
  3. 常に換気しておく

自分でチャレンジする場合は、日によって使う薬剤を変えましょう。効果が分かりやすいですし、最も安全な方法です。

すぐに黒ずみが再発するトイレは、便器の黒ずみ部分だけでなく、個室内の床や壁の四隅、窓のサッシがカビていないか確認しましょう。

また、一体型ではない温水便座も、いったん取り外して裏側をチェックしてください。わりと簡単に取り外せることを知らない人は多く、真っ黒にカビているケースがあります。

今ある汚れを適した洗剤で除去したら、あとは毎日中性洗剤でお手入れすれば十分です。

まとめ

トイレは家のイメージを大きく左右しますから、便器の黄ばみや黒ずみは、なるべく避けたいものです。正しい方法とタイミングで、真っ白な便器をキープしましょう。

特に注意したいのが黄ばみ。すぐに目立つ黒ずみと比較して、いつの間にか発生し、知らず知らずのうちに黄色みが濃くなってしまいます。

毎日のお手入れの中で、目視でチェックする習慣をつけるとよいでしょう。

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